
「20代は修行、30代は独立、40代は海外」——20歳の頃から描いていた人生設計を着実に実現してきたFさん。
京都で和食一筋に腕を磨き、自ら割烹料理店を経営した後、40代でコロナを機に海外挑戦を前倒しでスタート。現在はプリンセスクルーズの寿司レストランでマネージャーとして、世界中の海を航行しながら活躍されています。 英検三級でも現場でなんとかやり抜いてきたリアルな英語事情から、食材調達の苦労、国ごとに異なるお客様のニーズへの対応まで、クルーズ船という特殊な職場のリアルを包み隠さず語っていただきました。

1982年生まれの今年44歳です。高校卒業後に専門学校に一年通って、その後はずっと京都を中心に和食の仕事をさせていただいていました。海外にずっと憧れていたものですから、途中で寿司職人にキャリアチェンジして、今に至りますね。和食・料理の方には長くずっと携わらせていただいています。
そうですね、僕はずっと和食一筋でやってきまして、寿司に専門でやるようになったのはここ5〜6年ですね。マレーシアに行って、海外では和食一本だけではなかなか需要がないということが分かって、「であれば寿司に転向しよう」ということで、教えてもらいながら今は寿司専門でやらせていただいています。
調理師学校は二クールに分かれていて、前半は和洋中を総合的に習って、後半の一クールで専門を選ぶんですけど、そこで和食を選んだんですよね。寿司というカテゴリーはなかったので、寿司はもう実地の中でやっていたということですね。簡単な巻き物くらいはやったことがありましたけど、本当にそれくらいの程度でした。なかなか珍しい経緯だと思います(笑)。

はい、「花火」という和食屋さん、ちょっとかっこいい言い方をしたら割烹料理屋さんみたいな感じのお店をやっていました。そこからマレーシアに行って海外でのキャリアをスタートしたんですけど、お店を畳んで海外に行こうと決めたのは、実は20歳前の頃から自分の中で人生設計が決まっていたからなんですよね。
20代はがむしゃらに仕事を覚えて、30代は自分の店を持って、40代は海外に挑戦したい、50代はちょっとふらふらっとしながら、という考えを持っていて。40代に差し掛かった時にマレーシアを意識し始めていたちょうどその頃に、コロナが始まりまして。
時間の無駄だなと思って、10年経営するつもりが7年半ほどでしたけど、「まあ前倒しでいいかな」と思って早めに海外に行ったということですね。捨てないと次に進めないと思ったので。周りには色々言われましたけど、今となっては良かったなと思っています。
小学六年生の時ですね。親父が新聞を読んでいる時に、交換留学みたいな記事の切り抜きがあって、「これ何?どういう意味?」と聞いたら、「興味あるんだったら行ってみるか」と言ってくれて。三兄弟で僕だけ行かせてもらって、オーストラリアに行ったんですけど、よく言うトンカチで頭を殴られる感覚というか、カルチャーショックで自分の中で吸収できたものがすごく多くて、そこから「いつかは海外に」という意識になりましたね。
大学に行けるほどの頭もなかったので(笑)、これから世に出るにあたって何をしようかと考えた時に、花火師か、庭師か、調理師か、という三つの職人タイプに憧れがあって。その中から父親に相談したら、「調理師学校に一年行ったら出してやるし、その方が食いっぱぐれないから行ってみたら」と言ってくれて、親父が言うんだったらということで、そこから意識してやらせてもらっています。父親はすごく尊敬している部分があるので。
分かりやすくカルチャーが違うんですよね。僕らはやっぱり醤油や麹の下で生きてきたわけですけど、マレーシアなんかは暑い国でその暑さに対処するための食べ物に特化して料理が派生してきているので、そのカルチャーをまず理解しないと難しいなというのは実感しましたね。
お米が主食なのか、芋なのか、小麦なのか、そういうカルチャーを勉強して変化に対応できないと、自分の押し付けだけでは生きていけない。相手を理解して進めるということが本当に勉強になりましたし、今もまだ勉強しています。
食べ物って生活の中で結構重要じゃないですか。自分に合わないものが続くとそこがストレスになりますね。
あとはスタッフのマネージメントですかね。彼らのカルチャーを理解して、どう働き方をフィットさせていくかというのを考えてあげないと、頭ごなしに言っても通じないので。三者三様に教え方が違うので、そこには結構ストレスを感じることが多いですね。
僕は英検三級しかなくて、TOEICも測ったことがないです(笑)。現場で必要な語学力を身につけているというか、なんとなく行けちゃってるだけで、まだまだ勉強が必要です。本当に生きるために使っているというだけですね。
マコトシェフの会社で、クルーズ船の中にある寿司レストランのマネージメントをするのが主な仕事です。今、船のレストランが四つあって、それをぐるぐる回りながら、スタッフが半年ごとに入れ替わりするので、その度にコーチングをしたり、スキルアップとクオリティキープを主にやらせていただいています。仕入れや調理法など、マネージメントする部分は結構多いですね。

本当に色々行きましたね。来週もパナマに行かないといけなくて、「パナマってどこですか?」みたいな感じなんですけど(笑)。
ヨーロッパにも行かせていただきましたし、あちこちですね。スペインに行った時はサクラダファミリアに連れて行ってもらって、まさか人生の中で行けると思っていなかったので、会社都合でそういうところに行かせてもらえるのはありがたいですよね。
この船がアメリカ国籍なので、もうほぼ外国人ですね。キッチンサイドで言うと日本人は僕だけです。
寄港地による日と、1日中海にいる日でタイミングが変わってくるんですけど、終日航海日はお昼のランチを提供するので午前に費やして、港に着く日はランチを開けないので、夜に向けて大きめの仕込みをして、夕方に再度仕上げて営業に臨む、という感じです。その間に材料の配達が遅れたりとかトラブルが発生することも多くて、マネージメントしながら原因追求に時間を費やすことが多いですね。新しいスタッフのコーチングにかかりきりになることもよくあります。
今は日本のクルーズなので日本の食材が入りやすいんですけど、他の国では2〜3ヶ月前にコンテナでオーダーして、という感じで。生鮮食品を扱うので冷凍品が多くなってしまうんですが、それを港港で振り分けながらやっています。
先日も三つ葉をどうしても使いたくて、「パクチーで代用すればいいじゃん」と言われるんですけど、「いやいや、それは困る!」というやり取りが結構あって(笑)。そういうしょうもないことに見えてもこだわらないといけないことに時間を使うのが正直一番大変ですね。でも、そういう小さいこだわりがあるからこそお客さんに満足いただけるんだと思っています。
やっぱりありますね。生ものが苦手な方もすごく多いですし、ヨーロッパではグルテンフリーの要望が多かったり、アメリカではベジタリアンが多かったりと、地域によって求められるものが違います。「全部ちょっとあぶって」と言われることもよくあって、日本みたいに生を出し続ければいいというわけではないので、場所場所によって対応が変わってきますね。
今は給料をドルでいただいていますし、船というのは税制面で優遇されていて税金の支払いがないという部分で、手取りは増えた感覚はありますね。シップライフとして家族と離れる部分は多いですけど、仕事が終わったら休暇もいただけるので、その分家族旅行に使えたりとか。今まであまり家族に向き合える時間もなかったので、逆に今はそれを楽しんでいる部分はありますよ。

丸々1ヶ月ぐらい休んだりすることもありますね。今まで最長で1ヶ月ちょっとやってみました。その間に家族と近隣を1週間ぐらいふらっと旅行したりもしますよ。この間もマレーシア国内のランカウイに1週間ほどゆっくりできましたし、なかなか面白いなと思いますね、そういう時間が取れるというのは。仕事とプライベートは両立できていると思っています。家族がどう思っているかはわかりませんけど(笑)。
常に人といる仕事なので、寄港地に着いた時にはなるべく一人で移動して、海を見るのが好きなので浜辺に行ったり、ちょっと買い物したりして自分の自由な時間を作るようにしていますね。あとは船にジムが併設されているので、そこで自分だけの時間を作って、ストレスを溜めないように日々心がけています。
しんどい時は朝7~8時から始めて、日付をまたぐぐらいまでという日もありますね。でも、そういう日は限られているので、「ここさえ乗り切れば」という感じで逆に楽しみながらやっています。船酔いも最初はめちゃくちゃありましたよ(笑)。揺れを感じないようにするために止まると気持ち悪いので、ずっと動き続けて体を慣らしていましたね。1日2〜3万歩歩いたりして、足はパンパンになりますし、寝る時はもう爆睡です。
スタッフのスキルアップが目に見えた時ですね。あーやって良かったなと思います。それと、クルーズごとにお客さんからのアンケートスコアが発表されるんですけど、ありがたいことに上位にいることが多くて、その結果発表を見た時にお客さんに喜んでいただけているということがわかって、本当に良かったなと思います。あとはリピートのお客さんに「また会いに来たよ」と言ってもらえたり、外で顔を合わせた時に「ハイシェフ!」と声をかけてもらえる瞬間は本当に嬉しいですよね。
日本だけでもマレーシアだけでも味わえなかったことが出会えて、食のカルチャーや本当の意味でのカルチャーにフォーカスする時間が持てたというのは僕の中ですごくプラスになりましたね。マコトシェフから料理を直々に教えていただいたり、マネージメントについても多く学ぶ機会がありましたし、それはすごく影響を受けたと思います。
マネージメントスキルをつけながら、子供の成長も含めて次の住みかを探す時期に来ているかなと思案しているところですね。アメリカもすごいなと思っているので行きたいとは思っていますし、今はどれだけスキルアップできるかというのを自分の中で求めているところです。
今回三店舗のオープンに携わらせてもらったので、立ち上げのノウハウも身についてきた部分があります。ゆくゆくはどこかの地でもう一回自分の店を持ちたいというのが正直なところですね。
準備できるものは全部した方がいいと思いますね。資金であったり英語力もそうですし、家庭環境や日本の在住をどうするかなど。特に子供がまだ小さいので、保険関係や日本に帰った時の医療についての知識をもっと先に入れておけば良かったなという部分はあります。
ただ、いくら準備しても足りないなというのも身に染みているので、やってみて覚えた方が早かったなという部分もあって、半々ですね。一番大事なのは、行きたいなら一歩目をどれだけ早く踏み出せるかということだと思います。
今となっては30代で海外に出ていても良かったなと思いますね。後悔ではないですけど、それを取り返してやろうという意気込みでもあります。
僕の中ではJust Do It、ただやるだけ、そして諦めないことですね。何かを言い訳にして帰られる方や料理人を辞める方もすごく多いんですけど、続けることによって恩恵を受けた部分が本当に多いので。「行きたかったら行けよ、でもやるんだったら絶対続けろよ」というのが僕の中では強く思っていることで、それさえできれば幸せな部分が多いと思います。しんどい部分はもちろんありますけど、それ以上に幸せですよ。継続は力なりというのは、先人たちの教えが今の僕の中で本当に生きていますね。
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